絶対に知っておくべき4人のライブルーピング音楽家

日本のライブルーピング界隈がどのくらい盛り上がっているのかよく分からない。しかし以下に挙げたミュージシャン達が、なぜここまで日本語圏内で知名度が低いのか大いに理解に苦しむので、紹介することにした。ブルーグラス、フォーク、ロック、ファンク、ソウル、ヒップホップ、ポップスといったジャンルを横断するタイプの音楽家たちで、演奏も作曲も、そして即興も卓越した技術とセンスを持ち合わせている(Kawehiのインプロヴィゼーションは見たことがないので知らない)が、大きな特徴としてライブルーピングという(ルーパー、またはサンプラーと呼ばれる機械にその場でライブ録音を重ねていき、ゼロから楽曲を組み立てていく)スタイルをとっているのが共通点である。

Keller Williams(ケラー・ウィリアムズ)

フジロッカーにはお馴染みかもしれない。ジャムバンド界隈で絶大な人気を誇るケラー・ウィリアムズは、ギターの弾き語りだけで十分、観客を沸かせる実力を持っているが、ステージに山のように楽器を配置し、文字通りワンマンバンドとして即興のジャムを交えながら長時間のセットもこなす。小さなフェスではヘッドライナーを務めることもある。ギターの変則チューニングはマイケル・ヘッジズの影響を伺わせる。ヴォーカルハーモナイザーは使わず、PAのおっさんがハモリ担当のボーカリストを兼ねている。昔からBoomerangを使っている印象があるが、2018年の映像ではRC-300をメイン機材にしている。

 

Reggie Watts(レジー・ワッツ)

レジー・ワッツが驚異的なのは、歌詞もメロディもベースラインも、すべてのパフォーマンスが完全に即興なことである。ミュージシャンであると同時にコメディアンであり、ずば抜けた歌唱力と、ループ構築までの所要時間の短さ、テンポの良さと全く予測不能な即興の喋りの組み合わせで唯一無二の演芸をみせてくれる。特徴的な機材はLINE6のDL4で、初期の頃から欠かさず用いている。近年はEHXのルーパーを並列で使用している模様。Souliveとの共演でも有名。

 

Kawehi(カヴェヒ)

ライブルーピングを前提とした作編曲とパフォーマンスを行う彼女は、次世代らしくYouTubeやVimeoでNirvanaのカヴァー動画がヒット、一躍有名になる。その後も一貫してDIYミュージシャンとして活動しており、映像の見せ方やビジネスの仕方まで、ネット世代のお手本のような音楽家。Abletonがメイン機材(おそらくスポンサード)かと思いきや、Bossのループステーション各機種もほぼすべて網羅している。オリジナル曲の巧妙な編曲・作り込みからは、あからさまなループ構築で聞き手を退屈させまいとする配慮が伺える。ライブ映像を見る限りはヘッドホンをしていることが多く、クリック併用と思われる。

 

Randolf Arriola(ランドルフ・アリオラ)

真性の機材オタクである。改造トランストレム、改造ゴダーン等のギターと、自らが「ウーパールーパー」と呼ぶ巨大なペダルボードを駆使してキャンバスに色を塗るかのように音を奏でる、シンガポールのライブルーパー。Boomerang(ボードに2台、多いときはサブボードにもう1台組み込まれている)がメインのルーパーと思われる。U2のカヴァーで有名になった。クリックやクオンタイゼーションを使わないループ構築を旨としている(はず 笑)。Live Loop Asiaフェスティバルを主催。

 

もっと盛り上がれ

とくにまとめることはない。この人達すごいから聞いてね、というだけである。ヒューマンビートボックス主体のライブルーパーは多いと思われるが、もっと多様で多芸多才な音楽家によるライブルーピングが盛り上がりますように。

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